2008年2月26日火曜日

魔法 図書館

千冊の魔法 絵本と家族のものがたり

「千冊の魔法」連載中から愛読していました。岡田美里さんの繊細な感性と、温かな人柄が伝わってきます。疲れたとき、落ち込んでいるとき、この本を開くと、ほーっとします。紹介されている絵本の選択も、なかなか渋いし、写真もステキです。なにより、子育てや、母であること、同時に女性としての生き方が、魅力的に書かれているエッセイだと思います。どんな絵本を買っていいか判らない人には、素晴らしいガイドブックとなることでしょう。

モデル、料理研究家として活躍する著者は、2人の娘を育てながら2000冊以上の本と出会ったという。本書『千冊の魔法』は、母と娘が愛読した約50冊の絵本を取り上げ、それにまつわる思い出をつづったエッセイ集だ。 産まれた直後から持ち歩いていたヘレン・オクセンバリーの『ともだち』や、赤ちゃん時代に大好きでボロボロにしたエリック・カールの『はらぺこあおむし』。料理好きの次女がはまった『しろくまちゃんのほっとけーき』、幼稚園になじめなかった娘たちを勇気づけた『なきむしようちえん』……。そのときどきの子育てのエピソードが織り込まれ、生活の風景を切り取った写真が添えられている。 長女の誕生に「いただいた出産祝いは二百五十」などという文章に出くわすと、「やっぱり有名人」と思ったりもするが、子供の幼稚園時代は「自転車の前と後ろにふたりの娘を乗せて」走り回ったという意外に普通な暮らしぶりに驚いたりもする。 なによりも好感がもてるのは、自分や娘が絵本から受けた感動を伝えたいという思いがこめられている点だ。子供に読み聞かせる絵本選びにはもちろん、絵本に興味のある大人にもおすすめしたい。『ナルニア国物語』や、70年代以来のロングセラーであるかこさとしの『からすのパンやさん』なども紹介されている。子供時代に愛読した絵本の感動を思い出す人も多いだろう。(栗原紀子)

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