冒頭とあとがき(取材ノート)で、トワイライト・エクスプレスの1号車ロイヤルスイートのチケットについて触れられています。列車じたいが毎日運行でもないし、運行時でも1日に一往復、しかも上りでは前に機関車がつくので眺望が楽しめないため、実質的に1日に1枚しかないことから“プラチナ/幻のチケット”と言われているのです。これについては作中でもあとがきでも、あいまいなままやり過ごされているのですが、鉄道ファンとしては、このチケットの販売経路をポリティカル・フィクション風にきちんと暴いた社会派ミステリーが読みたかったですね…。とはいえ、トラベル・ミステリーとしては、ちゃんとトワイライト・エクスプレスに乗った感じを味わえる描写になっているので、そういう意味では満足。ますます乗ってみたくなりました。ミステリー部分としては動機の描き方がさすが吉村達也、という感じですか。